Esperanza

スペイン語で「希望」。 果報は寝て待て。

オオタカ、「希少野生動植物種」解除へ

昨日のニュース。

オオタカ「希少」指定解除を検討へ(NHK)

とうとうここまで来たか~、というか、
結局そういう検討に入るのか~、というか、
複雑な気分、になりました。

私が国内部門の仕事をしていた時、自分自身が直接関係していなかったんですが、すぐ隣で圏央道がらみの仕事をしていて、そこから色々漏れ聞いた話ではあります。なので、あまり他人事ではなかった。
(オオタカと、トウキョウサンショウウオ)

調べてみると、国交省の各道路事務所がWebページを作っていました。ご丁寧に。。。

<埼玉エリア・大宮国道事務所>
埼玉圏央道における自然環境の保全について

<茨城エリア・常総国道事務所>
自然環境と調和した道づくりに向けて
-オオタカとの共生を目指す茨城圏央道-


<千葉エリア・千葉国道事務所>
圏央道ちば館 環境への取組み
※トウキョウサンショウウオなどと一緒になっていますが、検討会が開かれているのはオオタカだけです

国内の仕事に関する師匠のひとりが、専門が鳥なのでよくぼやきを聞いていましたが、
猛禽類というのは繊細なヤツもいれば、図太いヤツもいるし、環境に順応するヤツもいる、とのこと。
道路ができて、鳥がビビッて営巣を止めてしまったりすることもあれば、橋脚なんかに営巣することもあるとか。人工物を利用するのも結構得意なので、個体差があるんだろうねぇ、ヒトと一緒だねぇ、なんていう感じです。

実際、調査したことがある人に聞くと、
「オオタカは結構いるよ」
という答えが多かったです。

なので、今回の「種の保存法」からの解除は、なんとなく妥当なんじゃないかと思っています。

・・・あれだけうるさい市民団体が、この指定解除のニュースに対して、どんな反応を見せるかは全く想像ができませんが・・・。

***

ちなみに、アセスをする以上は、定量的データが必要とされるので、保守的になるのは仕方ないです。市民団体もうるさいですし。

アセスの仕事では、「保全が必要な種」とそれ以外を区別するために、「種の保存法」「(環境省)レッドリスト」「(都道府県・市区町村)レッドデータ」などに記載されているか否かを基準にします。

基本的には、上の順が、重い順です。
「種の保存法」に記載されている種が、一番保全すべき度合いが高いように扱われます。
地域住民(市民団体)も、そんな風に考えている・・・ようです。

国レベルではもちろん、お偉い学者さんとかが検討会を開いたり、時々点検を行って、「妥当な」種を記載・指定変更・指定解除をしています。

が。
レッドリスト記載の基準、というものはありません。
食物連鎖上位の種なのに個体数が少なければはっきりわかりますが、地域によって隔離分布しているとか、同定があやしいとか、正確な個体数調査が難しいとか、あいまいなものも含まれています。

もちろん、「ギリギリに見えるものは保全しておこう」というのが、生物多様性維持においては基本なんではないかと思います(多様性が高ければ高いほどいいか?という疑問もあるんですが)。

そんなこともあり、都道府県以下のレッドデータに関しては、都道府県によってクオリティがバラバラだったりします。指定に関わる学者や、調査に関わった団体もバラバラですし、熱心な地域とそうでない地域もあります。そういう地域差、みたいのが結構出てきます。

中には、「こんなの、そこらへんにいるじゃん!」みたいのが指定されていることもあります。
県全体で見ると、都市化が進んでいて、都市化に伴って減っていく種なんかが指定されることも多いので、道路建設予定の野山なんかには山ほどいたりするんです。でも、建設工事があるのでアセス調査やって、指定されているので調査を細かくやらないといけなくて、でも大量にいたんで「とくに配慮する必要なし」と判断すると。

もちろん、データを見た上で「配慮の必要なし」と判断するんですから、とても説得力がありますし、妥当なことだと思います。地域住民やNGOの方々も、納得してくれると思います。
(調査方法にも色々あるので、その調査方法で納得してくれるかという問題もありますが・・・)

ただ、その調査に関する手間と調査費を考えると・・・
レッドデータの質、っていうのはとても大事なんですよね・・・
とはいえ、その基準はないので、都道府県で同じクオリティを保てと言うわけにもいかず・・・

こういうのは、野生動植物保全を扱う上では、仕方ない話ではあると思うんですが、微妙な気持ちになります。

もちろん、レッドデータがなかったら、保全する線引きがないので、保全自体が難しくなります。いくら学者が叫ぼうと、市民運動が起きようと、建設側からみたら、アセスを担当する企業に丸投げになりますし、そうすると判断にバラつきがでてくることは間違いありません。

***

自然環境保全に関わっていると、「環境影響評価法」と「レッドデータ」があるからこその「カネになる仕事」なんだということをいつも考えます。

というのも、私は途上国で仕事をする機会があったからです。
アセスが法制化している国は、そう多くありません。
それ以前に、環境規制法があるかどうかの問題(公害予防)が先に来ているので、そっちへの対応が先になります。どこでもそうですが、まずは人間の生命を脅かす法律から先にできます。

なので、人間の生命ではなく、自然そのものを守る法律というのは、余裕がある国でないと作れない、と考えています。例外もありますが・・・守られていない法律も世の中数多くありますから。

日本では、1972年に「環境アセスメントの実施」について閣議決定されたものの、業界からの反発を受け、1981年になって国会提出。しかし1983年に審議未了で廃案(!)。

その後、1993年に環境基本法が成立。←1992年の国連リオ(地球)サミットの影響
それに伴って、環境影響評価法が成立したのが1997年です。

なんとも情けない・・・と思いつつも、実際には、1984年から「閣議アセス」という形でアセス制度がスタートしています。

(ちなみに、公害防止法関連では、大気汚染防止法の先駆けが1962年、騒音防止法が1968年、水質汚濁防止法が1970年、振動規制法が1976年に公布されています)

残念ながら、私は「閣議アセス」の時代を知らないので、具体的のどう変わったかはわからないんですが、法律によって全国の各種事業が、一律に、透明性が高い状態で、実施できるようになったんじゃないかと思います。

その後、土壌汚染対策法が2003年に施行。
これで土壌汚染関係の仕事が生まれました。これは法律ができた前後に就職したので、そのインパクトを実感しています。法律施行前にはお金にならなかったことが、仕事として成立するようになったのです。

法律がないと、民間企業はそのコストを支払う必要がないので、調査の仕事も発生しません。
法律あっての、環境調査と環境影響評価の仕事ができ、客観的な視点で、その現場の環境が守られる。
そういう分野で仕事をしてきました。

・・・
こう書いていると、ダム開発や灌漑施設開発から始まった前職(建設コンサルタント)で、環境分野に携わってきたことが、いかなることか改めてわかりますね。
環境以外の分野の社員は、基本的に建設、または防災に関わる人々なので、「できる喜び」「人の命を救う喜び」があるんですが、環境の社員は、それらの活動に対して「待った!」をかける役割があるわけです。

そんな部を作って、一大勢力?として頑張ってきた先輩方は、すごいなぁ、と思います。
部ができて20年くらい経ちますが、未だに「なんだ、うるさいな環境は」と言われることがあるんですから・・・。

***

長くなりましたが、オオタカの「指定解除」、時代に逆行しているようで、そうではないというか、とても意義のあることだと思います。感慨深いです。

それでふと、日本国内の現場に携わっていた時期を思い出したのでした。
現場は、何から何まで勉強になります。
スポンサーサイト

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

Menu

プロフィール

ゆこゆこ

Author:ゆこゆこ
ハードな仕事を経てメンヘル不調に。2回の長期休職の後に退職。派遣社員を2年半した後、契約社員として本格的に仕事を再開しました。

好きなものは大自然、旅行、パン作り、Perfume。

大学での専門は植物生態学ですが、園芸植物のことはよくわかりません。

開発コンサルタントという妙な仕事をしていたおかげで世界の辺鄙な場所へ行ったことが多いです。

これまでの訪問者数

最近の記事

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ内検索